空売りが「危険」と言われる5つの理由

【空売り戦略の教科書⑨】空売りは買いよりもリスクが高いのはなぜ?

「空売り」というと、懸念される投資家がいます。では、空売りの何が危険なのでしょうか。

ここでは空売りについて初心者に向けて、空売りの危険性について解説していきます。株式市場において、自分の大切な資産を守るためにも知識として頭に入れておきましょう。

空売りが「危険」と言われる5つの理由

1.損失が無限大
株式購入時の場合のリスク

株式を購入する場合、リスクは初期投資額に限定され利益は無限大となります。

例えば、株価1,000円のときに購入して数日後に、株価が0円になったとき、最大損失額は1,000円です。しかしながら、株価が2,000円、3,000円、10,000円となり利益が2倍、3倍、10倍に可能性も十分にあります。

空売りの場合のリスク

空売りの場合、この逆転のリスクが生じます。利益は限定され損失は無限大となります。

株価1,000円のときに空売りをした場合を考えます。数日後に株価が2,000円、3,000円、10,000円・・・。空売りは、株価が上昇すれば損失が増えるために、損失が無限大といえます。

2.踏み上げ相場によるリスク

株価の急激な上昇がある場合、空売り投資家にとっては大きな損失が発生するため、株の買い戻しをしなければならない場面が訪れます。この時、株の「買い圧力」と「買い戻しの圧力」が同時に発生し、これにより株価がさらに高くなる可能性があります。これを踏み上げ相場(ショートスクイーズ)に巻き込まれる状況といえます。

ボラティリティの高い株式銘柄は特に、この踏み上げ相場の影響を受けやすいため十分注意する必要があります。

3.追証発生のリスク

空売り取引で、考えなければならないリスクの一つに「追証(おいしょう)」があります。

追証とは追加証拠金の略称です。追加保証金とは、信用取引(空売り取引)において保証金を担保として行う取引の際、委託保証金率を下回った場合に追加で差し入れなければならない金額のことです。

信用取引で空売りをしている場合、株価の上昇により追証の可能性があります。

例えば、委託保証金5,000円、15,000円の空売りをしたところ、株価が18,000円まで上昇してしまった場合を考えます。

委託保証金率は33%(5,000円÷15,000円×100)となります。一般的に委託保証金維持率30%を下回れば追証が発生するので、18,000円へ上昇した場合、委託保証金率は27%(5,000円÷18,000円×100)となり、追加保証金が必要となります。

追証の解決方法として、追加で入金する方法や、ポジションを整理すること、損切を早めに行うなどしっかりと対策する必要があるので注意が必要です。

4.強制決済がある

空売り取引(信用取引)においては、決済期日を超過した場合や追証発生時に、証券会社より強制決済される場合があります。

決済期日の超過による強制決済

制度信用取引には通常、6か月という期限があります。期限に到達したらプラスの利益であろうが、マイナスの損失だろうが決済しなければならないルールがあります。

追証発生による強制決済

追証発生により追加で差し入れる証拠金が無い場合、証券会社により強制決済をされるケースもあります。簡単に言えば、含み損を損切せずに持ち続けてしまう場合です。証券会社により自動的に株式の買い戻しが行われ、強制的に損失が確定されるのでこちらも注意が必要です。

5.配当相当額を支払う義務がある

空売りポジションを所有しているときに、株式に対して配当が支払われる場合、その配当相当額を証券会社へ支払う義務があります。

配当相当額の支払いが発生するのは、権利付最終日に売りポジションを保有していた場合です。支払い不足しないように残高を調整する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?空売りは買いよりもルールが複雑であり、難しいと感じてしまったかもしれません。空売り投資はリスクが高く、経験豊富な投資家のみの投資戦略と思われがちです。

しかしながら、正しい知識を身につけて、正しい使い方をすれば、空売り投資戦略というのは投資家の身を守る最適な投資法でもあります。しっかり勉強をして、これからの投資ライフをより良いものにしていきましょう。

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