【空売り戦略の教科書④】空売り比率(short interest ratio)とは?
空売り比率とは、投資家が空売りをしている株数を出来高で割った比率のことです。
空売り比率の増加、または減少といった大きな変化は、投資家の感情を示唆している可能性があります。
空売り比率の計算方法
空売り比率とは、売買高(出来高)に対して、どのくらいの空売り残高(売り残)があるのかを集計した指標です。
空売り比率の算出方法は以下の通りです。
空売り比率(%)=空売り残高(Short Volume)÷売買高(Market Volume)×100
空売り比率の使い方
例えば、1週間で空売り比率が20%から30%に上昇した場合、空売りを仕掛けている投資家が増加し、株価の下落を期待している(悲観的な考え)投資家が多いということが考えられます。
それとは反対に、空売り比率が1週間で20%から10%に減少した場合、株価が上昇を期待している投資家が増え、楽観的な心理状態にあることが言えます。
このような空売り比率の変化は、信用取引をしない投資家にとっても、投資分析の重要な材料となる場合があります。
空売り比率が高いとどうなる
空売り比率が極端に上昇している銘柄は「踏み上げ相場(ショートスクイーズ)」になる可能性が高くなります。
ショートスクィーズ(shortsqueeze)とは、空売り投資家(空売り筋)が株価の上昇を受けて、損失覚悟の買い戻しを余儀なくされ、株価が大幅に上昇する局面のことをいいます。
つまり、投資家の「買い」と空売り投資家の「買い戻し」が同時に株を買う局面により、さらなる株価上昇が期待できる状態です。
具体的なショートスクイーズの例は、以下の通りです。
例えば、空売り投資家が、ある株式に1株2,000円のときに空売りしたとします。空売りというのは、証券会社から株を借りて市場に売っているため、いつか「買い戻し」をしなければなりません。しかし、予想とは裏腹に、株価は1株3,000円に上昇してしまいました。空売り投資家は、これ以上の損失に耐えられない状況から、泣く泣く「買い戻し」を行うことになります。
そもそも価格が上昇している株式は、「買い」が殺到しており、空売りの「買い戻し」が同時に発生することにより、株価が大幅に上昇することがあります。
したがって投資家は、取引する銘柄の空売り比率をしっかり分析をして、取引をする必要があります。
まとめ
空売り比率(short interest ratio)とは?
投資家が空売りをしている株数(空売り残高/売り残)を出来高(期間中に取引された株数)で割った比率のこと。
空売り比率が増加している場合、投資家はネガティブな思考。空売り比率が減少している場合、投資家はポジティブな思考であるといえます。空売り比率の大きな変化は、投資家の市場心理を見るバロメーターとして利用することができます。
空売り比率の極端な上昇には、空売り筋による買い戻しが入ることから踏み上げ(ショートスクイーズ)の可能性があるので注意が必要です。
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