制度信用取引と一般信用取引の違いとメリット・デメリット

【空売り戦略の教科書⑰】制度信用取引と一般信用取引の違い

信用取引とは、証券会社から必要な株式を借りて、自己資金の約3.3倍の取引が可能となる売買取引です。自己資金が100万円であれば、約330万円分の取引ができるようになるため、レバレッジをかけて効率的に投資をすることができます。

そして、信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があり、投資家はどちらの制度を利用するか選択することになります。

当記事では、「制度信用取引」と「一般信用取引」の違いやメリット・デメリットを初心者向けに、なるべく分かりやすい言葉を用いてご紹介します。そして、信用取引の初心者には「制度信用取引」をご利用することを強くおすすめする理由を解説します。ぜひご参考になれば幸いです。

そもそも信用取引とは?

現物取引は、自己資金の範囲内でしか株式を購入することができませんが、信用取引であれば、自己資金の約3.3倍の株式取引をすることが可能です。(実際には、証券会社から株式を借りる行為になります。)

例えば、自己資金50万円である場合、現物取引では当然50万円の株式しか購入できません。しかしながら信用取引では約165万円の株式を取引することが可能です。これにより手元に資金が不足している場合でも株式を取引することができたり、レバレッジをかけてより大きい利益を狙うことができます。

ただし、自己資金以上の株式を証券会社から借りることとなるので、証券会社への手数料(コスト)やリスクも理解しておくことが必要です。

実際に信用取引を行う際に、投資家は「制度信用取引」または「一般信用取引」を選択することになります。初心者であれば「制度信用取引」を選択することを強く推奨します。

制度信用取引と一般信用取引の違い

では、具体的に制度信用取引と一般信用取引の違いを、証券会社最大手の楽天証券を例にして見ていきます。

簡潔に言えば、制度信用取引は制限のある取引で、一般信用取引は制限が少なく自由な取引が可能でその分、コストが必要です。詳細を見ていきましょう。

楽天証券の場合(執筆時点)
制度信用取引 一般信用取引
対象銘柄 制度信用銘柄のみ ほぼ全ての銘柄
返済期限 6ヵ月 無期限
IPO銘柄 制度信用銘柄として選定後から取引可能 上場日から取引可能
逆日歩(品貸料) あり なし
信用金利 買方金利:年利2.85%
貸株料:年利1.10%
買方金利:年利3.09%
貸株料:年利2.00%
返済期限の違い

上記の表からも分かる通り、制度信用取引と一般信用取引の1番の違いは「返済期限」が有るか無いかの違いです。

制度信用取引の場合、どれだけ含み益がある状態で保有し続けたいと思っても、どれだけ含み益が出てて損失を確定させたくないとしても、6ヵ月後には強制的に決済されてしまいます。一方で、一般信用取引の場合、返済期間に制限がなく自由に取引することが可能です。強制決済の心配がないため、長期的な目線での取引も可能となっています。

コストの違い
信用金利(買方金利と貸株料)

信用金利に注目していきます。

買方金利(かいかたきんり)とは、信用買いをする投資家が証券会社に対して支払う金利で、信用取引で決済をするまで毎日支払うお金をいいます。一方、貸株料(かしかぶりょう)とは、信用売りをする投資家が証券会社に対して支払う金利で、これも決済するまで日々のコストとなります。

買方金利、貸株料のいずれも一般信用取引の方がコストがかかることが分かります。投資家はコストを最小に抑えることが、最大のパフォーマンスに繋がるため、このコストの差は見過ごすことはできないでしょう。

逆日歩

逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、制度信用取引の信用売りのときに生じる場合がある経費です。

信用取引では、投資家が証券会社から株式を借りる取引となります。しかしながら、証券会社も貸せる株が限られており、株式不足になると「証券金融会社」から株式を借ります。この時、証券金融会社が株を調達するコストを逆日歩、または品貸料といいます。一般信用取引では仕組み上、逆日歩は発生しません。

制度信用取引のメリット・デメリット

制度信用取引のメリット

制度信用取引はおおよそ、一般信用取引よりも金利が安い場合が多いです。上記の楽天証券の例からも分かるように、制度信用取引の買方金利は年利2.85%に対して、一般信用取引の買方金利:年利3.09%となっています。

また、制度信用取引の返済期間は最大6ヵ月です。これは初心者にとっては必要な仕組みです。というのも、制度信用取引にて取引に失敗した場合でも6ヵ月後には強制決済となります。損切りをする、損失を確定させることは、初心者だろうが上級者だろうが苦しいことです。しかしながら、投資において損失を最小にすることも一つの大切なこと。制度信用取引では、6ヵ月しっかりと期限の区切りがあり、損失を最大化させないためにも初心者にとっては必要です。

制度信用取引のデメリット

制度信用取引のデメリットとしては、逆日歩(品貸料)が発生することです。

しかしながら、逆日歩というのは常に支払うべきコストではありません。逆日歩が発生しない限り、支払わなくてよいということです。

一般信用取引のメリット・デメリット

一般信用取引のメリット

返済期間が無期限というのが一般信用取引の最大のメリットとなります。

長期的な取引をレバレッジをかけて取引したい投資家にとっては、とても有効な取引といえます。

一般信用取引のデメリット

しかしながら、一般的に信用取引は短期・中期取引に向いているとされております。その理由は、信用取引には逆日歩や配当落調整金、信用管理費といった日々の手数料がかかってしまうからです。

そのため、一般信用取引には返済期間が無期限だからといって、ポジションを持っていればそれだけの費用を支払う義務があります。例えば、年間で5%の利益を出したとしてもコストである金利が3%であれば、実質2%の利回りとなります。

「返済期間が無期限」ということはメリットでもありデメリットであると言えます。

まとめ

信用取引の初心者は「制度信用取引」を利用することをおすすめします。なぜなら、コストを最小限に抑えることができ、さらに、返済期間が最大6ヵ月と限定されているため、損失を最小限に抑えることができるためです。

信用取引は、危険な投資手法ではありません。しっかりと知識を身につけることで、高いパフォーマンスを発揮できる手法です。ぜひ信用取引の初心者であれば「制度信用取引」を活用して、新たな手法にチャレンジしていただければ幸いです。

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