空売りで利益を出す考え方と売買のタイミング

【空売り戦略の教科書⑧】空売りで利益を出す考え方

空売り取引を始めて多くの人が悩むのが「売り時のタイミング」と「買い戻しのタイミング」です。エントリーのタイミングによって損益が決まるので、売り時のタイミングと買い戻しのタイミングは非常に重要です。

今回は、空売り経験の浅い方が取り入れやすい売り時・買い時のタイミングについて、基本的な考え方を紹介しています。ぜひ取り入れてみて実践に活用してください。

そもそも空売りとは?

空売りというのは、証券会社から株を借りてきて売ることにより、株価が下がる局面で利益を出す手法です。

一般的な株式投資は、株を買い、値上がりを待つようなスタンスですが、空売りさえできれば株価が下落局面でも利益を出すことができます。

空売りで利益を出すポイント

ポイント①:値頃感で売ってはいけない

株式投資における「値頃感(ねごろかん)」とは、投資家が過去の値動きから、株式を売買するのに適当な価格だと感覚的に判断することを言います。

例えば、一週間前に1株3,000円であったが、現在価格は6,000円になっている。短期間で2倍ということはそろそろ天井なのではないかと予想することです。株価の価格だけをみて、判断する方法は失敗します。

なぜ値頃感で売ってはだめなのか?

投資の格言には、トレンドに逆らうな・トレンドは友(Trend is your friend)という有名な言葉があります。この格言の通り、「トレンドは思ったよりも長く続く」という株式投資の傾向があります。

3,000円から6,000円と2倍になったこの銘柄は、強い上昇トレンドを形成しています。この状態で空売りをするということは、上昇トレンドにある株に対して、トレンドに逆らうことになります。

初心者が空売りで利益を出すためには、必ず下落トレンドに入ってから売る。つまり、株価が下がり始めてから売り始めるほうが勝率が高い手法です。

ポイント②:下落トレンドから空売りをする

空売りの基本は、下落トレンドが始まってから空売りをする必要があります。では、どうやって下落トレンドを見極められるのでしょうか。

下落トレンドの確認方法①

下落トレンドの確認方法の1つに「移動平均線の向き」が重要になります。移動平均線が下向きであれば下落トレンドであり、移動平均線よりも下側にチャートがある場合は、より強い下落トレンドと判断することができます。

下落トレンドの確認方法②

また、「直近の高値を上回らず、直近安値を下回った時」も下落トレンドの始まりの可能性があると考えられます。最低限、この動きを確認したあとで、空売りをすることで成功する可能性がグッと高まります。

空売り取引が難しい2つの理由

理由1:利益を上げる期間が少ない

相場の格言に「上げ100日、下げ3日」という言葉があります。

相場のサイクルというものは、ゆっくりと上昇していき、突如として急激に下落する。そんな値動きを日数で表現するとすれば「上げ100日、下げ3日」ということになります。つまり、株価は上昇よりも下落のほうが急激なものになりやすいことを例えた格言です。

そこからわかることは、空売りは成功すれば早く大きな利益を得られるということが分かります。しかしながら、勝てるタイミングが少ないことが空売り投資が難しい理由の一つとなります。先ほどの格言からわかるように、勝てるタイミングは3日間しかないからです。そのタイミングをしっかり吟味しなければいけません。

理由2:空売りにはコストがかかる

空売りのデメリットの1つとして、「買い」よりも「空売り」の方がコストが高いことが挙げられます。

貸株料(かしかぶりょう)

空売りをする際に、証券会社などから株を借りることになります。そのレンタル費用としての手数料が貸株料です。

逆日歩(ぎゃくひぶ)

品貸料とも呼ばれます。

空売りをする人が多くなると、証券会社は貸せる株が不足となります。その際に、証券会社は証券金融会社や機関投資家から株を借ります。そのレンタル料金のことを逆日歩と呼び、空売り投資家がその費用を負担することになります。株を借りたい人が多くなればなるほど、この逆日歩(レンタル料)が急激に跳ね上がることがあるので注意が必要です。

空売り投資をする際には、上記のような貸株料や逆日歩というコストがあるため、長期的な空売り戦略にはコストがかかるので難しいということも理解しておくべきです。

まとめ

空売りで利益を出すためには、徹底的にタイミングを吟味して投資をする必要があります。

決して値頃感で売ってはいけません。下落トレンドを見極めてから、売りポジションへエントリーすることが、初心者にとってベストな戦略です。トレンドに逆らうことのないように、十分注意してください。

また、買いよりも、早めの利食い・損切を心がけるようにしてください。コスト面も考慮すれば、空売り戦略は長期的な目線ではなく、短期トレンドに乗るようにしましょう。これにより、成功に近づくと私たちは考えております。

関連記事
【空売り戦略の教科書①】空売りとは?|ショートセール(short selling)の仕組み
【空売り戦略の教科書②】空売りの買い戻しとは?|ショートカバー(short covering)の仕組み
【空売り戦略の教科書③】空売り残高とは?|売り残(short interest)の仕組み
【空売り戦略の教科書④】空売り比率とは|空売り残高比率(short interest ratio)の仕組み
【空売り戦略の教科書⑤】初心者向け株式投資の空売りクイズ
【空売り戦略の教科書⑥】今さら聞けない「空売り」のメリット・デメリット
【空売り戦略の教科書⑦】初心者のためのやさしい空売り投資のはじめかた
【空売り戦略の教科書⑧】空売りで利益を出す考え方と売買のタイミング<< 現在こちら
【空売り戦略の教科書⑨】空売りは買いよりもリスクが高いのはなぜ?
【空売り戦略の教科書⑩】なぜ空売りをすると株価は下がるのか?
【空売り戦略の教科書⑪】株の空売りは市場にとって「悪」なのか?
【空売り戦略の教科書⑫】空売り取引で必要となる費用(コスト)とは?
【空売り戦略の教科書⑬】裁定取引(アービトラージ)とは?
【空売り戦略の教科書⑭】クロス取引(つなぎ売り)とは?
【空売り戦略の教科書⑮】現引き/現渡しとは?
【空売り戦略の教科書⑯】売りヘッジとは?
【空売り戦略の教科書⑰】制度信用取引と一般信用取引の違い
【空売り戦略の教科書⑱】空売りにおすすめのネット証券会社は?

\ ご支援ありがとうございます! /

関連記事

  1. 空売りが「危険」と言われる5つの理由

  2. 制度信用取引と一般信用取引の違いとメリット・デメリット

  3. 空売り残高とは|売り残(short interest)の仕組…

  4. 空売りの理解度クイズ全10問【初心者向け】

  5. 空売りで必要となるコスト|売買手数料・貸株料・品貸料・配当落…

  6. 現引き/現渡しとは|手数料はいくら?メリット・デメリットは?…

PAGE TOP